音楽好き好き

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日々気合

最終章:運命のように

その企業の名前を見たとき、私は少し笑った。

祖母に買ってもらった、あのカメラのメーカーだった。
高校時代、写真部に入った記念として手にした一眼レフ。
コンテストには出さず、部活では浮き、追放されるように居場所を失ったあの日々。
そのカメラで、いま私は京都の最後を切り取っていた。

まさか、そこに応募するなんて。

写真部を追われた自分が、そのカメラメーカーに。
自分でも、よくわからない衝動だった。

気づいたときには、エントリーシートを書いていた。

「写真に上手さは要らない」
「画質でも構図でもなく、そこに何が写っていたかだ」
「誰がなんと言おうと、自分の視線だけは信じたい」

そんなことを書いた気がする。
面接ではあまりうまく喋れなかった。
けれど、なぜか選考はトントン拍子に進んだ。

「これは、導かれているのかもしれない」

どこかでそう感じていた。
人生の道筋というものに“選ばれている”感覚。
もしかしたら、これまでのすべて──追放されたこと、彼女にフラれたこと、尿路結石すらも──
この道に続く伏線だったのかもしれない。

正式に内定をもらった日の夕方、私は鴨川に出た。

ちょうど日が落ちる頃だった。
川面に映る空の色が、少しだけ春を帯びていた。

カメラを構えた。
人はいない。
ただ、水と風と、遠くに見える電線。
そのなかに、確かに私はいた。

あの頃の視線が、いまに繋がっているのかは分からない。
だけど私は、その視線を手放さずにここまで来た。

写真は、上手さじゃない。
証明だ。
自分が確かにそこにいたという、小さな証明。

私は静かにシャッターを切った。

その音は、何かが終わる音ではなく、何かが始まる音のように聞こえた。


 

 

生成AIで小説を書いてみました.
物語の内容はフィクションです(念のため).