音楽好き好き

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On The Corner - Milse Davis

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音楽というものには大抵メロディやコード進行などの展開が付き物で,ジャズも例外では無いと思うのですが,ジャズトランペッター,マイルス・デイビスによって作られた1972年のこの作品「On The Corner」には,およそ分かりやすい展開がありません.この時期の彼は,エレクトリックなフリージャズを模索中といった感じだったと思いますが,Wikiにはスライ・ストーンを意識してこのアルバムが出来たと書かれていますね.しかしさすがマイルスというべきか(?),まさかそのままスライの真似をする訳もなく,完全に独自の境地に至っているように感じます.スライは1971年に「There's A Riot Goin' On」をリリースしており,確かに本アルバムはスライのドロドロしたフィーリングを引き継いでいるような気もします.

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しかし,この「On The Corner」はつくづく変な作品です.前述の通り展開というものがほぼありません.大半の楽器は,短いフレーズを延々と繰り返しているだけに聴こえます.なんならミニマル・ミュージックよりも変化に乏しく,「おや,展開が変わったようだぞ?」と思ったら単に次の曲になっただけ,みたいなことがよく起きます.まさか現代音楽を聴かされるなど思いもよらない当時の硬派なジャズファンは,しかしきっと神妙な面持ちで最後まで聴き通したことでしょう(笑).

「On The Corner / New York Girl / Thinkin' One Thing And Doin' Another / Vote For Miles」:複数の曲が編集で繋げられています.正直素人耳には切れ目が分かりません.曲始めが徒競走のスタートラインだとすると,号砲が鳴らされたにも関わらず,ラインから一歩も出ずその場で踊り続けてしまう男性の姿が目に浮かびます.

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「Black Satin」:ベースやドラムがちょっとキャッチーになっています.しかし展開らしき展開は,やはりありません.細かい変化は割とあるかも.ミニマル・ミュージック寄りのファンクって感じですかね.

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残りの曲も似たような感じです.一応断っておきますが,私はこのアルバム好きです.前に進めなくてもどかしい気分にぴったりの一枚だと思います笑.

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