Lucky Shiner - Gold Panda
好きな音楽が増えてきて，自分が過去にどんな音楽が好きだったかをすぐに思い出せなくなっている気がします．例えば私が中高生の頃は，持っているアルバムの全ての曲にダイレクトにアクセスできる感覚がありました．従って，当時は自分の持っている音源から「今聴きたい！」と思う音楽を正確に選んで聴くことができていたと思います．
しかし現在は，知っている音楽が私の脳のメモリに比べて多すぎるため，現在関心があって意識に上っている音楽の範囲からしか聴く音楽をチョイスできなくなっている感じがします．音楽の捉え方も，昔は「透明少女が聴きたい！」みたいに曲単位だったのが，アルバム単位，アーティスト単位，ジャンル単位，のようにどんどん抽象化されてきました．限られた処理能力（ここでは脳）で膨大な情報を扱うために階層化は必然でしたが，聴く曲を選んでも「もっとふさわしい曲があったのでは？」という疑念が拭えなくなってきました．
そこで自分の聴いてきた音楽を一望でき，好きな音楽を常に思い出せる何かを作りたいと思い，このブログはその実験という側面もあります．非常に個人的な音楽ライブラリで，私の音楽に関する記憶そのものみたいなものですが，しかし稀にいる何記事も連続で見てくれる方は，自分と近い人種のように思えて非常に励まされる気持ちになります．
前置きが長いし何を言いたかったのか全く謎ですが，今回取り上げるのはGold Pandaという電子音楽家の2010年の1stアルバム「Lucky Shiner」です．このアルバムも私の中で最近まで忘れ去られていた作品で，買った当時はピンと来なかったんですけど，たまたま思い出して聴いたところ非常に良かった．野田努氏が触れてるように，Aphex Twinの傑作「selected ambient works 85-92」が遠く思い出されます．あと紙ジャケが最高．
「Vanilla Minus」：たまらないですね．プチプチしたノイズが火花のようでもあるし，水しぶきのようでもあります．ひんやりしているのに熱い感じがします．
「Same Dream China」：タイトル通りどこか東洋っぽく，幻想的で素晴らしいです．中国の秘境って感じがして瑞々しいですね．
「Snow & Taxis」：この曲にはMVがあります．私はこの曲から彼を知りました．瑞々しさとか潤いのある彼のテクノが大好きです．
こんな感じで，いつでも音楽を思い出せるようにしっかりと記録していきたいなと，改めて思いました．
