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Child's View - 竹村延和

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勝手に竹村延和縛りで一週間レビューを書いてきました.とりあえず今回でこの縛りは終わりとしますが,最後に記念すべき竹村延和の1stソロアルバムにして傑作,「Child's View」を取り上げたいと思います.このアルバムは1994年に発表され,この時期はまだSpiritual Vibesも平行してやっていた頃のようです.彼がSpiritual Vibesをどこまで主導していたのかは詳しくないですが,あちらは結構プレイヤー各人の色が出ているような気がします.しかしこちらは彼のソロで,彼が音の全てを取捨選択してできるクラブジャズがどんなものか,という問に答えたのがこの作品と言うこともできるのではないでしょうか.

ソロ二作目の「子供と魔法」以降には,音の一つ一つが主役で,子供さながら誰のためでもなく自分のために鳴っているような作品が多い気がします.しかしこの一作目には,逆に一つも無駄な音が無く,物分りの良い大人が完璧な音楽を作ろうとしてできた作品,といった印象を持ちます.つまり徹底してリスナー,もしくは竹村自身のために作られた作品なんだと思います.実際これを聴いて少なくとも駄作という評価をするリスナーは,まずいないでしょう.かと言って媚を売っているとかでは全くなく,ストイックに良い音楽とは何かを自問自答して生まれたのではないでしょうか.そしてこの路線を極めた感触があったのでしょう,彼は振り返ること無く新たな表現の可能性を模索するようになっていきます.では適度に曲の感想をしたためます.

「Phases Of The Moon」:洗練という言葉はこの曲のためにあるのではないかと思うほどの完璧なオープニングです.20年以上も前の作品ですが,一周回ってとかではなく,未だにストレートにセンスがいいと感じます.きっと永遠にかっこいいのでしょう.

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「For Tomorrow」:こちらは歌ものとなっていますが,やはりかっこいいです.バックで木琴のような電子音のような不思議な音が鳴っており,彼の今後の方向性を示唆しているとも受け取れそうです.つんのめったようなベースラインも印象的です.
「Ivory Tower」:「象牙の塔」とは浮世離れしたような物事のことを表す言葉ですが,Childiscもそんなところありますね.やはりそれだけでは立ち行かない音楽産業というものを彼が嫌うのも無理はないと思います.話がそれました.まさにクラブジャズといったコンパクトな楽曲です.
「Rill」:美しい.
「The Future With Hope」:子供の声が冒頭にサンプリングされていて,彼らの無限の可能性に思いを馳せて作られたのでしょうか.純粋過ぎて逆にパンクです.
「Pastral Waltz」:幻想的.
「Let My Fish Loose」:Aphex Twinにもリミックスされた曲(彼はクソな曲だからリミックスするとは言っていますが).普通にいい曲だと思います.
「One Blue Moment」:Spiritual Vibesの曲のリミックスです.ボーカルは無くなってますが,原曲より些か賑やかに感じます.楽器が多いのでしょうか.

アルバムで一つの作品といった感じなので曲の個々の個性は弱いですが統一感があり,それでこそアルバムだなあとは思います.まだ紹介できていない竹村作品が幾つかあるので,それらも今後気が向いたら紹介していきたいと思います.