ほしのこえ - 竹村延和
竹村延和の「ほしのこえ」のご紹介です.このアルバムのジャケット単体でも非常に気に入っているのですが,ケースも特別に黄色くなっていてジャケットアートとよくマッチし,愛着が湧きます.以前紹介した「Sign」の「Sign」と「Animate」の「A Chrysalis」が入っていて,電子音よりかと思いきや,かなりアコースティックな現代音楽風の曲もあります.1曲目の「One Day」は,鳥の環境音やコミカルな電子音を使った,どこかの公園や街角の風景を切り取ったような曲で,2分もないですが好きな作品です.2曲目の「Anemometer」はとてもゆったりとしたミニマル・ミュージックで大好きな曲です.13分近くあるのですが,なぜか全く飽きずに聴けます.その点ラヴェルのボレロみたいです.このような曲を作れてしまうところに彼の天才を感じます.
「Honey Comb」は音フェチ的というか,「Sign」の音で「Finale」に入っているような曲を作ったという感じです.ひたすらフェティッシュな音が鳴っているような,曲というよりは音を純粋に楽しむことができる作品です.「A Theme For Little Animals」は2014年の「Zeitraum」のような現代音楽といった感じの曲です.「Stairs In Stars」は1曲目のような雰囲気の作品で,こちらも好きです.しかしあちらが地球の情景だとすれば,こちらはもっと重力の弱い別の星の風景を想起させます.「The Voice Of A Fish」は水中にいるような感覚をもたらします.全体的にこのアルバムは音を楽しむことに重きを置かれているようで,曲として作られている感じは少ないです.ポップなジャケットに反してかなりマニアックかもしれません.